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『天女の羽衣』の謂れ
『天女の羽衣』は、中屋の蒔絵において、「古典芸能シリーズ」に位置づけられる作品です。
「古典シリーズ」は、歌舞伎・能・謡曲等、日本の古典を蒔絵の画題としたシリーズです。
天女が衣を枝にかけて水浴びしている時、漁師が衣を取りあげ、返す代わりに天女の舞を披露してもらったという三保の松原の天女の羽衣伝説を題材にしました。
技法
ポイントの羽衣は、「銀友治(漆で描いて銀を蒔き研ぎ出す技法)」によって、量感と共に、よりシャープな立体感を表現
し、松は、「つけ描き(漆で厚めに描き金を蒔く技法)−粘性の強い漆で絵を描き、その上に粉を蒔き、紺固め後 研ぐ。」によって、羽衣より一段控えた感じを出し、遠近を演出しました。
地面・雲等は研ぎ出し蒔絵で、なめらかに仕上げております。
「銀友治(ぎんゆうじ)」について
江戸時代の京都の蒔絵師、永田友治が考案し、広まった技法を友治と言い、
中でも錫(すず)粉を使う所を、銀粉を用いて盛り上げた高蒔絵の方法を特に「
銀友治」と言います。
工程説明
1:研ぎ立て・蒔絵下
研ぎ立て−漆塗面を平滑に研ぐ。
(この時、研ぎ面に少しでも凸凹があると研ぎ出しを施したときにムラが出来る。
平らな箇所は簡単だが局面Rが強くなればなるほど研ぎは難しくなる。)
砥の粉と油を使って表面をよりなめらかに、そして傷をより細かくして絵を描きやすくする。
2:地塗り
漆を金地あるいはぼかしを入れる部分のみ同じ厚みで塗る。
3:粉蒔き
最初、粉を薄く蒔き、しだいに淡く蒔いてぼかしていく。
4:粉固め・塗り込み
粉蒔きの硬化後に漆を全体に塗る。
5:研ぎ
金粉は、その半分まで研ぐ。
6:銀友治ー1
羽衣部分は、一度全体に漆で塗りつぶし、銀粉を蒔く。
その硬化後、粉固めをして粉を半分研ぐ。
そしてさらに漆を塗り込み金粉や青粉(金と銀を混ぜたモノ)を蒔き、粉固め後、研ぐ。
7:銀友治ー2
羽衣一枚一枚を漆で描き、銀粉を蒔き、粉固め後研ぐ。
さらに漆を塗り、金粉を蒔き、地固め後に半分研ぐ。
8:上絵描き
上絵を漆で描き、金粉を蒔き、粉固めをして研ぐ。
9:付け描き
松部分は羽衣を目立たせるため銀で、高蒔絵をせず付け描きする。
10:上絵描き
上絵を漆で描き、金粉を蒔き、粉固めをして研ぐ。
11:呂色
全体に摺漆(すりうるし)を施し、硬化後、手のひらや指の腹でこすって磨きをかける。
この工程を3回繰り返す。
摺漆とは、表面にできている無数の微細な傷を生漆で埋め、艶を出すために行う、
生漆を塗ってすぐに拭き取るという作業です。
銘の部分を中心としたアップ
松の葉など、とても細かい細工を施しております。
銘の義秋の後には、シリアル番号を「壱」と入れています。

価格 472,500円
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