筆記特性データ分析
中屋万年筆ではこれまで、お客様一人ひとりの筆記特性に合わせた万年筆をお届けしてきました。
そのベースとなる”筆記カルテ“は今約50,000件のデータとして蓄積しています。
この大切なデータを様々な角度で分析することで、それぞれのお客様に合うペン先をより的確にご提案できないか。
お預かりした情報を皆様へ還元すべく、筆記特性の研究は始まりました。
慶應義塾大学理工学部管理工学科 鈴木秀男研究室のご協力を頂き多年度にわたり解析を実施。
大きな傾向の把握はもとより、筆記特性の用途・言語による違い、加齢による変化など、有意な知見が得られつつあります。
こちらで公開しているものはほんの一例です。これからもより快適な描き心地をご提案できるよう、研究を進めてまいります。
1.基礎となる、お客様からの筆記カルテデータ
ご注意: 個々のデータは個人情報等もあり、全て数値化をしています。
また、その内容についても一般公開は控えさせて頂いておりますので、公開させて頂いている全てのデータはイメージとしてお踏まえ下さい。
2.数値化への前作業
カルテでは 強い 普通 弱い となってる部分を 強い→1、普通→2、弱い→3 と各項目を数値に置き換える上記の結果だけではありませんが多方面からの切り口による分析により、その70%は実際に私達が経験的に感じている結果に帰着していますが、残りの30%では新しい発見や、むしろ今迄の認識(常識・通念と言っても良いかもしれません)とは反対の結果が示唆されています。
例えば、▲海外(外国人)の方の方が筆記時に筆圧は日本人よりも低い方が多い。▲海外の方が中屋に求めるペンは極細など細字系が日本人の方が求めるよりも多い。▲力が弱く、筆圧が低い方は軟らかいペン先(中屋で云う軟筆)を求める方も多い反面、以外に硬いペン、(しっかりとしたペン先)が結果的にフィットしている。などです
3.数値化とウェイト付け
4. 基礎集計
私達中屋万年筆では、昨今『○○を購入された方は▲▲も購入されています』の様なリコメンドはしておりません。上記はあくまでもお客様のお好み(選考)の結果であり、筆記特性とは何ら関係のないものと切り離して考えています。ショッピングの楽しみは楽しみとして尊重すべき部分ですよね。
5-1.クロス集計
下記は文字サイズとペン先の集計です。両者の相関も別途計算します。
5-2.クロス集計
ユーザー様(リピーター様)のオーダー毎の変化点の把握を試みています。
6.クラスター分析
使用言語による筆記特性の違いを解析中。
数量化Ⅲ類
近似した特性の方々やそうではない方々等を多方面からグルーピングします。
自動筆記マシン開発
中屋万年筆では、皆様にお渡しした万年筆の修理・メンテナンスにも、長きにわたって携わってきました。
書き心地の違和感は、ペン先の経年変化、ご自身の手の形や力加減の変化など、微妙な差によって生まれてくるもの。
万年筆の状態を人の目や手の感覚だけでなく機械によって数値的にも捉えられれば、違和感のもとをより明確にすることで、
何時でも理想の書き心地を保ち続けることができる。
この思いから開発に取組み、近く実装化を予定しております。引き続き、皆様のお手元で研究成果を実感いただけるよう努めてまいります。